「なんだかわたし、ダイエットしてるって感じがしないんですよね」


「それは、自分が無理してないって証拠やで」


「ですね。食べたいものは食べてるし。歩くのも習慣になっちゃってて、イヤじゃないんですよ。自然と吐かなくなったし。最近はちょっと遠回りして、一時間以上、あっ…」


「一時間以上なに?」


「ちょっと余分に歩いたりして…」


「真琴が無理さえしてなかったらええんよ。一時間以上歩かなあかん、とか、えらいけど無理して頑張って、とか思うんやったらアカンけど。それキッカケで、なにもかもが変わってまうから」


「あくまで、このペースで、我慢はせずに、ですよね」


「分かってきたやないの」


「ぼちぼちでんな~」


「あんた、しばくで」


チエが鋭く突っ込む。


おお、やっぱり親子だわね。


「あの、正樹君は居ますか?」


「いややわ、かしこまって、正樹君やて。どこぞのお嬢さんかと勘違いするわ」


「で、居ますか?」


「なんやの、どっか行っておらへんがな。怖い顔して出てってもうた、て、あら!喧嘩でもしましたんかぁ?」


「してまへん~」


「あんたいつでも嫁いでこれるな。あたし可愛がったんで」


ニッと笑うチエに向かって、


「かんにんどすえ~」