2人っきりの体育館。


広い広い体育館に、自分の鼓動が聞こえるよう。


「な、なんか緊張するね」


緊張をほぐそうとしたのに‼


「真琴、目を閉じて」


「え‼」


「クローズ・ユア・アイズ」


マークが流暢な英語(当たり前か!)で言い、完璧な発音に甘い響きを感じた。


ゴクリとツバを飲み込み、カッと開いた瞼を下ろす。


や、やだわ、き、キス、初キス…。


あ!わたし、弁当にギョーザ入ってなかった?


「ま、待って‼」


そう目を開いた時、


チュッ、


おでこから音がした。


「真琴と出会えて嬉しかったです」


「マーク…」


「また、迎えに来ます。いっぱいいっぱい成長して、お嫁さんに貰いに来ます」


「うん、ありがとう」


わたしは答えた。


もうすぐ別れる、


マークに向けて…。