器用に足にボールを乗せる。


これが入らなかったら、マークとKissだ。


「先輩…」


先輩が足を上げるのを、固唾を飲んで見守る。


クシャミはしてはダメ。


分かってる。


分かってるけど、こういう時に限って、鼻がムズムズする。


ダ、ダメよ‼


息を止めた真琴。


は、早く投げて‼


先輩が右足を揺らし、反動をつけ、同時にクシャミがおさまったわたしは口を開いた。


「ハァ~アア‼」


安心したのも束の間、


口から漏れたのは、クシャミではなくアクビだった‼


唐突だけど、皆さん知ってます?


アクビはうつるって。


しかも、この中で寝不足なのは、わたしと…。


「ア~アァ‼」


足を上げながらアクビをする先輩がバランスを崩す。


が、真っ直ぐに突き進むボール。


ボールはリングを弾き、そのままリングをクルクルと回り、やがて…。