〜フリースロー対決〜


1.三本ずつ
2.同点の場合サドンデス
3.勝てば真琴の唇


ごく簡素なルールだ。


だが、


「俺はこっからにしたるわ」


正規の位置より、ゆうに3Mは後ろから言う。


「じゃ、ボクもそこから投げます。ハンデいりません」


「なに言うてんねん。やる言うもんは素直に貰うもんやで」


「正々堂々、男の勝負です!」


マークが言い切った。


負け惜しみなどではなく、その顔からは時に笑顔が覗き、清々しく見えた。


「ええんか?俺、どっから投げても入るんやで?」


「ええですねん!」


「お前、しばくでホンマに。ほな、みな、同じとこから勝負や」


ドリブルをし、
肩をならす正樹。


マークもボールの感触を確かめ、先輩は投げる練習を…。


期待を込めてボールを追うが、


1回目は外れる。


2回目も外れ、3回目もゴールにかすりもしない。


「やだ、ヘタクソ?」


遠慮なく口にするのは夏美だった。