寝ぼけ眼をこすり向かうのは…。


「朝倉先輩!」


元気に呼びかける。


「おう!」と元気に答える朝倉が笑顔で両手を掲げるので、同じく笑顔で駆け寄ったわたしも、両手を上げながら、


"ハイタッチ!"


「勝ちましたね!」


「当たり前だろ!このまま優勝だな!」


「いけますいけます!」


抱き合わんばかりの勢いで盛り上がるのは、サッカーの対デンマーク戦。我がサムライジャパンが、見事に決勝ラウンド進出を果たしたのだ。


「お前その顔、LIVEで観たのか?」


なんだか嬉しそうな先輩。


「少し仮眠して、夜中の三時半から観ましたよ!それから寝ようと思ったけど、興奮してもう眠れなくて」


「俺も俺も!」


少し赤い目をこする。


これから沢山話をし、喜びを分かち合おうという、わたしの目論見は、


「細井さん!大変よ‼」


もろくも崩れたのだった。