「俺はお前が好きやねん」


「えっ」


「冗談やのうて、お前みたいなん嫁にしたいんや」


いつになく真剣な、それでいて心のこもった告白。


それが伝わってきたからこそ、真琴は返事ができなかった。


「それはアイツも同じ気持ちやねん。せやから喧嘩したんや」


「でも、でも仲直りしないと」


懸命に訴えるが、


「なんで仲良うせなあかんねん。ライバルやで。ま、あいつはもうおらんようになるから、俺のが断然、有利やけどな」


軽く鼻で笑う正樹。


「だからでしょ!」


声が校舎に響き渡る。


「もうすぐ居なくなるから、仲直りしなきゃ!このまま別れちゃったら絶対にダメ!後悔するよ」


「うるさいやっちゃな」


邪魔臭そうに言うと、また背を向けて歩き出す。


「土曜日、お別れ会するから、来てよね!」


背中に願いをぶつけるが、正樹は知らん顔だ。


「絶対に来なきゃダメだから‼」


ダメなんだから…。