「でも、なにするの?みんなで痩せるわけ?」


「そうです。今の若い子たちって、間違ったダイエットしてるんですよ。そういうわたしも、まだ意識改革の途中なんですけど、間違ったダイエットは体にも心にも悪いから。正しいダイエットを広めたいんです」


半分は関西弁の受け売りだが、わたし自身、いつの間にか、チエの推奨する"健全なダイエット"を信じるようになっていた。


だって、


チエのダイエットは辛くないのだ。


楽しい、といっても大袈裟ではない。


「なんだか、あなたが言うと異様に説得力があるわね。でも待って.....」


そこまで言うと野崎は腕組みをし、


「細井さん、あなたどうして私に頼むのかしらね?」


と、こちらを睨みつける。


「えっ…」


「あなたの今の担任は吉田先生だっけ?痩せてるわよねぇ。学年主任の奈良先生もスリムだしねぇ」


わたしの反応を面白がっているようで、その実、口調がどんどん卑屈になっていく野崎先生に、ある魔法をかけることにした。


「先生、3kgは確実ですよ」


とっておきの魔法だ。