互いの"夢"を語り合い、意気投合している2人に背を向け、わたしは自分の拳を突き出してみる。


まだまだ弱い、突き破る力などない拳。


盛り上がっている2人が、羨ましかった。


わたしには、


わたしにはなにも…。


「真琴の夢はなんですか?」


マークに聞かれた。


「細井さんは着実に夢に向かってるよね」


したり顔で実が言う。


ん?


そっか、


わたし、


夢があったんだ。


そこに向かって、


頑張ってきたし、


今も頑張ってる。


でも、


でもそれだけじゃダメ!


それだけじゃダメなんだ‼


「よし決めた‼」


そう叫んで突いた。


今までで、


一番の"突き"だった。