「じゃ、食べたいものは食べてもいい?」


「ええよ」


「甘いものも?」


「食べたらええ。たまに甘いもんは食べやなあかんよ。体を休ませるためにも」


「食べやなあかん…」


思わず口から漏れる。


「せやから、イントネーションが違うがな。って、なんであんた笑てんねん?」


「笑ってます?」


「ニヤついてる」


「フフ、なんか食べてもいいって言われたから、一気に気が楽になって。歩くコースにケーキ屋が出来たんですよ。ずっと指をくわえながら素通りしてたんで、明日には買いに行けるなって」


「あたしモンブラン!」


「はい地図書きますんで」


「思いやりのない子やわぁ~」


嘆くチエひ見送られ、池脇家を後にすると、


「あれ、真琴やん、おかんとこ来たんか?」


そんな声に振り返る。


「あ…うん」


つい視線を外す。


それは、


正樹がいつもと違うからだ。