屋上に顔から飛び出した。


サッと振り返ったが、どうやらまいたようだ。


2人とも気はいいのだが、"許婚"や"フィアンセ"と、たまったものではない。


「どうしたの?そんなに急いで」


そう笑いかけるのは、


「あ、美鈴さん」


「鬼ごっこでもしてるの?」


「いえ、ちょっと。それよりアイツは?」


見回すが、あの金髪が見当たらない。


「パンを買いに行ったわ。私が行くと怒るのよ、体にさわるからって。だからアイツは私のパシリ」


「最強のパシリですね」


「あれから教室にも出てくるようになって。だから私を笑うヤツは居なくなったわ」


「良かったですね」


「式とか挙げれるといいんだけど、まだ学生だしね」


そう言って、丸みのあるお腹を触った。


前より大きくなってる!


が、少し寂し気な美鈴に、


「応援してますから」


心からの言葉だった。