「なによ、せっかく買ってきたのに」


プッと頬を膨らます夏美。


(お~、この子だから許される仕草だわ)


「あ、ごめん。あとで頂く、賞味期限が切れないうちに。ありがとうね、わざわざ」


少し遠慮気味に言うと、


「当たり前じゃないの!友達なんだから!」


「友達…」


胸が熱くなる響き。


「友達って、風邪引いたら見舞いにいくんでしょ?菓子折もって」


「言葉にすると露骨だけど」


「じゃ、私が風邪引いたら来てよね」


「こ、交換条件ですか?」


「私、甘いもの苦手だから。アラレか煎餅がいいな」


全く悪びれてない夏美の口調に、呆れるより、笑えてきた。


「詰め合わせ持ってお伺い致します」


「やだ、風邪引かなきゃいけないじゃない」


ゴホゴホっと咳き込む真似をする。


(この子、意外といい子?)


そう思いながら笑うと、


「真琴、またお友達が見舞いに来てくれたわよ」