「あなただって、いつも皆に囲まれて、友達も沢山いるじゃない」
「あんなの、友達じゃないわ。私っていうブランドを持ちたいだけなのよ」
「ブランドって…」
「細井さん、あなたブランドに興味なさそうよね?」
小馬鹿にしたような口調だったが、なぜか目が輝いて、わたしの答えを待っている?
「そうね、あんまり興味はないけど」
「じゃ、なってあげる」
「なに?」
「友達に」
「へ?」
「あなたどうせ、福島さんが居なくなって寂しいんでしょ?」
えらく高い位置から、
振り下ろされる、手。
背伸びしても届くのかという、上から目線だったが、なぜか憎めなかった。寂しいのはわたしではなく、夏美のほうだからだ。
夏美のか細い手を握り、
「ま、よろしく」
「やだ細井さん。ネイルぐらいしたほうがいいわよ。カッサカサじゃない」
ある意味、
友加里よりキツイかも。