「少し痩せただけじゃない!」


吐き捨てた言葉にムッとした。


「前も言ったけど、あなたダイエットしたことないでしょ?好きな人のために20kg痩せようとする気持ちがあなたに分かる?朝倉先輩と付き合うために、七夕までに20kg痩せないといけないの!」


怒りからつい口走ってしまい、


驚いている夏美の気をそらすため、慌てて、


「こ、ここよ。ここよが大事なのよ‼」


胸をポンと叩いた。


見る見るうちに崩れる、夏美の表情。鼻の穴を膨らまし、目を吊り上げ、あれ?わたしなにか悪いこと言ったかしら?


「どうせわたしは胸がないわよ」


「へ?」


「そりゃ男なら誰でも胸が大きいほうがいいわよね」


「そうじゃなくて"心"でしょ、心」


そう言うと、夏美は真顔で首を傾げる。


「心がキレイだって言いたいわけ?そんなの、目に見えないじゃないの」


「目に見えるものが全部、正しいとは限らないわ。心は目に見えないから、通わせるのが難しいんじゃない。でも一度通えば、また目に見えない絆で結ばれるのよ」


"あら、いいこといった?"


満足気に自分の言葉に酔っていたが、夏美は一言、


「どういうこと?」