[校内案内ツアー]


なぜかガイドを仰せつかってしまった。なにかにつけて興味深々のマークを引き連れ、校内を練り歩く。


すれ違う生徒の注目を、嫌でも浴びてしまうが、なぜか鼻が高い。


「ここがティーチャーのルームね」


「おぅ、職員室ですね」


「で、あそこがライブラリー」


「図書室ですね」


どちらが外国人か分からない。


しかも、


「真琴、体育館いかへん?バスケしようや」


またややこしいのが一名。
廊下でドリブルする正樹。


「真琴、テコンドーしましょう」


そう言って構えるマーク。


「なんやねんお前、日本来たんやったら空手やらんかい!なんならアメリカ人やったら、バスケやろ!」


正樹は、ボールを強くマークの顔面に向かって投げた。


危ない!


一瞬、目を覆ったが、マークは涼しい顔で、人差し指の上でクルクルとボールを回している。


「いちいちかんにさわるヤツやな。ほな勝負や!」


こうしてツアーは、


急遽、ゴールのないバスケット試合に変更されたのだった。