「ずっと探してたんよ。どこで無くしたか思て。まさかお前、へくったんちゃうやろな?」


ズンズンと目の前までやってくる。


イケメンがやってくる‼


彼は…。


痴漢から助けてくれた恩人だ!大阪弁のヒーローだ‼


「あ、わたし、この前、電車で…」


ボールを手渡して礼を言おうとしたが、


「せやけど、ホンマこっちは人多いなぁ~。あんまぎょうさんおんで、人に酔うてまうわぁ~」


「よ、酔うてまう?」


「せやねん。二回くらい吐いてもうたわ。三回目はなんとか飲み込んだけどな」


教室を静まり返らせる、威力をもつ関西弁。


わたしもチエとの会話で免疫がついているとはいえ、この端整な顔立ちから発せられると、またパワーアップしたように聞こえてくる。


「あ~、師匠、同じクラスですね」


新入り2人が笑っている。


「そ、そうね。よろしくね」


「よろしくです、真琴」


マークが言った。すると、


「え?お前、真琴言うん?真琴って、あの真琴?」