[スライム真琴]現る。


登校するやいなや、机にベロ~ンと突っ伏す。じかに頬をつき、隣の空いた席を眺める。


分かってはいたが[友加里がいない]現実は、わたしからやる気を削ぎ、奪っていくには充分すぎた。


HRが始まると、なんとか起立したものの、すぐにまたスライム状態だ。


足元に転がった、あのバスケットボールを、つま先で遊ぶ。


「みんな、おはよう。今日はみんなに、新しい仲間を紹介する」


担任がなにやら言うが、わたしの耳には入らない。


だが、しばらくすると、クラス中がざわついた。


ん?


首だけ動かして、教壇のほうを見やると…。


お?


少し体を起こした。


女子から黄色い声が漏れるのも、頷ける。


朝倉先輩へ真っしぐらを、空港で誓ったわたしでさえ…。