先輩を見る。


(ダメだ、やっぱカッコいい)


確かに胸がキュンとするが、以前ほどの緊張がない。


これは、わずかだけど、先輩と[心]を交わしたからではないか。


「でもお前、やっぱ痩せたなぁ」


目を細めて感心する先輩。


「抱いた感じが細かったもんな」


「だ、抱いたって…」


「で、今、何kg?」


「計ってません。七夕に、ぶっつけ本番でいきますから」


よどみなく出てくる言葉。


それは自信に満ち溢れていた。


が、


「やっぱり1kgは誤差OKにしません?」


「ダ~メ!きっかり60kg!」


「じゃ、もし60kgきったらどうします?」


そう言うと、先輩はしばらく考え込んだすえ、


「キスでもするか」


「えっ‼」


「七夕祭り行こうぜ。花火見て、焼きそば食って、金魚すくって、最後にキスするんだよ。ま、60kgきってたらな」


最後のほうは聞こえていない。


こ、これは意地でも、
あの浴衣を着ないと!


"ありがとう、友加里"