「泣くなよ」


背をポンと叩いて、先輩がやや困惑気味に言う。


「だって!だって…」


「俺が泣かしてるみたいじゃねぇか」


「でも、でも…」


「早く泣き止めって」


「じゃ、一つ、お願いきいて、くだ、さい」


なんとか鼻水を拭ったわたしは、顔を上げた。


「な、なんだよ?早く言えよ、なんでもきいてやるから」


「じゃ、まけて下さい」


「なんだ?」


「3kg、いや2kgでいいんで、まけて下さい!」


真顔でお願いしたが、


「それだけは無理。約束だろ?」


「ケチ‼」


言ってから驚いた。


こんな軽口、先輩にきけるなんて…。