「わたし思うんですけど、結局、精神的なものですよね?」


「なにが?」


「たとえば、浮気していいよ!て笑顔で言われると、逆にしにくくなる。それと同じで、食べていいよ!て言われれば、まぁ、食べるけど、暴飲暴食はしないっていうか」


「なかなか鋭いやないの」


「あと、こないだの本に"痩せる5つの法則"ってありましたけど、我慢はしない、運動する、体重は計らない、あと2つはなんですか?」


「教えてほしい?」


「まぁ、一応」


「そんなんあかんわ!もっとこう、教えてぇ!教えてくれやな死んでまう!くらいの意気込みやないと」


「じゃいいです」


「ちょ、なんやの、冷たい子やな~」


「忙しいんで」


「わ、分かった、教えたるで、ちょっと待ってえさ、忙しない子やな、ホンマに。取ってくるさかい、おとなし座っとき!」


「はい!…そりゃそうよね、なにか取っておきがあるのよ」


「はい、これ」


「な、なんです?」


「見たら分かるやないの。魔法の痩せ薬」


「これが…ですか?」


「そう、これ効くんよ」


「わたし、嫌いなんですけど」