「ちゃんと分かってるわよ、あんた誕生日だったでしょ?考えてあるから、とりあえずはコレで、気分を静めて」


「それならいいけどさ。ま、美味しいもの食べると笑顔になるしね」


「醤油こと。あ、おじさん、あたし留学するんだ」


友加里がサラッと言うと、


「えっ!そ、そりゃ寂しくなるな」


と、あとは焼けるまで、
変な沈黙が広がった。


「おじさん、泣いてない?」


「年とると、箸が転んでも泣けてくるのよ」


すげなく言うが、少し嬉しそうに微笑む。


「ありがとな!これはおじさんからの餞別だ!体に気をつけて頑張ってこい!」


「うん、ありがと」


友加里は照れ臭そうに礼を言い、早速、焼きたてにフゥ~フゥ~する。


「熱!れも、ほいし」
(でも美味しい)


ん?と、首を傾げる。いつもと少し味が違うのは、おじさんの涙がスパイスだからかな?


そう笑みを浮かべたわたしだったが、さすがに友加里は違う。


「ちょっとなんか、しょっぱくない?鼻水でも入れたんじゃないの!」


そう真顔で言ったのだった…。