ひどいひどいひどい!
気がついたら屋上に飛び出していた。
厚い雲が立ち込め、今日の空は曇っている。
涙が溢れてきた。
怒りで胸が熱くなったが、それもごく一瞬のことで、
少しすると、胸そのものが、削られていく寒さを覚えた。
友加里が黙っていたことに腹を立てるより、友加里が居なくなることが、怖くて仕方がなかったのだ。
「やだよ、そんなの」
一人、呟く。
いくら屋上に篭城しようが、事態は変わらない。
友加里は行ってしまう。
それなら、明るく送り出すのが友人だ。
分かってる。
そんなこと分かってる‼
でも今はダメ。
とてもじゃないが、今は友加里の顔も見たく…。
「真琴」
背中に優しく声がかかった。



