担任に呼ばれ、皆の注目の中、友加里は観念したように立ち上がった。


「なにかしたの?」


声を掛けるが、前に出た友加里は俯いたまま。


「え~、アメリカとの交換留学に、我がクラスの福島が行くことになった」


「え…」


だが、どよめいたクラスは、すぐに拍手に包まれる。


それはわたしも例外ではない。


「やったじゃん!友加里‼」


手を叩き、
手を振る。


それを友加里は言いたかったのだろう。きっと、わたしが寂しがるから言い出しにくかったのだ。


「おめでとう‼」


ブンブン手を振るのだが、友加里はなぜか見ていない。


ずっと下を向いてる。


どうしたんだろ?もっと喜んでもいいのに。わたしと離れるのが寂しいのかしら?でもそんなの、確か二週間のはず…。


だが次の瞬間、手はピタリと止まる。


「それで、福島はそのまま向こうの学校に留学することになった」