「黙ってたら分からへんやないの!あんたのこの人差し指と中指にできてるマメ、ハキダコ言うねん‼」


「…」


「あんた吐いたあと、自分の顔みたことある?そらあるわな、だいたいトイレで吐くんやから、吐いたあとに鏡みるやろ。そらもう、この世の終わりみたいな顔してるやろ?それだけ体には負担かけてるっちゅうこと。一旦もろた小遣いを返せて言われるんと一緒」


「ハァ…」


「ハァやないて。吐くのやめたいから来たんやないの?なんや冷やかしかいな?あんたやる気あるん?」


「わ、わたし帰ります‼」


「あそ、ほな帰り。お見送りさせて頂きます」


深々と、旅館の女将よろしく頭を下げる。


"二度と来るもんか!"と肩を震わせて背を向けたが、


「ちょっとあんた!これ持ってついてきて‼」


振り返った真琴わたしは、放り投げられたペットボトルを、思わず受け取ってしまった。


「ちょっ、わたし帰るんですけど‼」


「ええやないの、ケチくさい!!」


ズンズンと行ってしまう。


「なんなのよ‼」


憤慨しながらもついていくと、広い庭で、1人の女性が草むしりをしていた。