「やだ…」


掠れた自分の声が、とても遠く聞こえる。


あれは"血"だ。


毎日、吐き続け、胃を破ってしまったに違いない!


クラクラと目眩がした。


ドアに手をつくが、指先が痺れて感覚がない。


感覚が消えていく!


だが、わたしを襲う不安は別のところにあった。


・早く出ないと‼
・ここから出ないと‼
・それが無理なら
・せめて流さないと‼


水を流さないと、
バレてしまう‼‼


わたしが吐いたことがバレてしまう‼


薄れていく意識の中、


わたしは懸命に手を伸ばした。


物的証拠を消すために…。