大きいロウソク一本、
小さいロウソク七本。


バースディケーキの炎が揺らぎ、歌が終わると、わたしはロウソクの火を吹き消した。


「マコネエおめでとう!」


チビたちが拍手する。


母に手渡された重いプレゼントは、ソッコーで脇に置き(成績が下がったので参考書だ)、おチビちゃんたちがくれたのは、わたしの似顔絵だった。


「ありがとう‼」


半分、妖怪のようだが、もう胸がいっぱいだ。


母がケーキを切り分ける間から、目をキラキラと輝かせる子供たち。


席を立ち、用意してあったプレゼントの包みを2つ、彼らに手渡す。お返しだ。


「これじゃ、誰の誕生日か分からないわね。はい、真琴」


一番、大きなケーキ。


早速、生クリームと酸味のきいた苺を食す。


"ん~、シ・ア・ワ・セ!"


だが子供たちは、せっかくのケーキも一口舐めただけで放ったらかし、プレゼントに歓喜の声を上げている。


当然のことながら、余るケーキ。


自分の腹と相談する。


腹は"商談は成立せず"と言ったが、一口だけ齧られて崩れているケーキが哀れに思えてきた。