「あ、飛行機雲‼」


三人で空を見上げる。


白く細い雲が、青いキャンパスに描かれ、穏やかな風が三人を撫でていく。


「俺はよ、まぁ、なんてーか……」


話し出した一馬を、2人は黙って待つ。


「ガキが出来たって聞いた時、正直、嬉しかった。若い親父って、カッコいーじゃん。だから……」


「美鈴さんのこと、好きなの?」


わたしは単刀直入だ。


グッとこらえ、考え込んでいた一馬は、


「あ~あ~‼」


痛々しい腕を突き上げ、空に向かって伸びをする。


「もう女遊びできね~のかぁ!まだ若いのによぉ~‼」


天に叫ぶ一馬。


言葉とは裏腹に、その顔は晴れやかだった。


「はい、カウンセリング終了!あとはお二人で」


その場を後にしようとしたわたしを、一馬が手招きする。


「なによ?」


「ちょっと耳貸せよ」