「はい、じゃ次あんたの番よ」
顎を突き出し指名する。
名指しされた一馬は、腕組み(片方ギプス)し、ふてくされて突っ立っている。これはなかなか堅牢な城だ。そこを攻め落とすには…。
「けどよ、お前、俺のこと……」
一馬がわたしを見つめる。
そう、
攻め入るには…。
「わたし、あんたのこと好きよ」
自分も素直にならなければ。
「あんたといると、楽しいし元気になるから。少しエッチだけど、まぁ、男はみんなエッチでしょ?」
わたしは笑った。
美鈴も笑っている。
一人の男を取り合う女2人は、同じ笑顔で互いに笑い合っている。
ポツリと取り残される男。
「でもわたしが好きなのは、正直なあんたよ。たまには意地はったり見栄はったり、それは誰もがすることだけど、ここ一番は自分の気持ちに素直な、柳沢一馬が好きなの」
細井真琴、人生二度目の告白に、
ようやく一馬も怒っていた肩の力を抜いた。