「じゃあんた、美鈴さんのこと好き?」


「馬鹿じゃねぇのか?俺はお前ー」


「はい嘘!嘘嘘嘘!あんたはわたしの手を握って、美鈴、美鈴ってうわ言言ってたわよ!それから美鈴さん!あなただって、アイツが病院に運ばれた時、手を握って泣いてたじゃない!それから一晩中、手を握ってたんじゃないの?」


真実を突きつけると、2人はハッと互いを見合う。


「わたしを巻き込まないで!どうして素直にならないの?自分の気持ちに正直になるって、恥ずかしいことじゃないでしょ?凄く勇気がいるけど、凄く素敵なことじゃない!いい加減、素直になりなさいよ!」


真琴の思いは、空に向かって響いていく。


一点の曇りもない青。

ゆっくり流れる白い雲。

校庭から聞こえる歓声。


そして、


屋上でぶつかり合う、三つの思い。


緩やかに流れる時間とともに、それぞれの気持ちが重なり合う。


「私、正直に言うわ」


肩の力を抜いた美鈴。


「私、あんたのこと好きよ。あんたが病院に運ばれたって聞いた時、もう気がついたら病院に居たの。無事で良かったって、心から思った。その時に気づいたの。あ〜、好きなんだ。別れちゃったけど、どうしよう、って」


そう言うと、
クスッと笑った。


悪戯を見つかった子供みたいに、可愛い、18才の笑顔だった。