「なんだよ、お前」


目の前にヌッと現れたのは、三年の男子(サッカー部)だ。


柄が悪そうだったが、サッカーとは縁がある。


「なによ、もう少しでボールが当たるところだったじゃないの‼」


165cmの真琴が見上げる。


「そんなとこにボサッと突っ立ってんのが悪いんだろ」


180cmが見下げて威圧する。


それがどうした!わたしは、毎週日曜日、もっとデカいの相手してるんだから‼


「謝りなさいよ‼」


たかだか廊下での悪ふざけ。


ボールが誤って少し当たるくらい、目くじらを立てるほどではないのだが、わたしが執拗に謝罪を迫るには、相当の訳があるのだ。


「うっせーな!」


「お腹に当たるとこだったのよ!」


その"訳"を指差す。


そして訳は、


「もういいわよ」と、血気盛んに向かっていくわたしを引き止める。


「お前、神田の知り合いか?」


「そうよ、それがなによ‼」


美鈴の前に立ちはだかるわたしを、数名の長身男子はせせら笑うと、


「じゃ、お前もヤりまくってんだな」