「いらっしゃい‼」


いつもの声に出迎えられ、


「おじさん、とびっきり美味しいやつお願い!」


「よしきた!ってあれ?いつも一緒の子は?」


鉄板に油を引きながら[ネジリハチマキ]が言う。


「風邪で休み。今から見舞いに行くんだ」


「そうか、なら治るように気持ち込めて焼かないとな!」


生地がジュ~!と流れ、香ばしい匂いが鼻をつく。


15分後、


「はい、ありがとう!早く風邪が治るといいな!」


"わたしたちの仲も治るといいけど"


と、友加里の自宅に向かう。


ドキドキドキドキ。


高鳴る鼓動。


朝倉先輩に告った時より、緊張するんですけどー。


何度かためらった後、チャイムを鳴らす。


友加里のお母さんと世間話をするが、全く耳に入らなかった。


「友加里、真琴ちゃんが来てくれたわよ」


促されたわたしは、


半ば押されるように、友加里の部屋に入った。