美鈴は微笑んでいる。


「アイツ変わった。あなた出会ったお陰ね」


どう答えていいか、皆目、検討がつかなかったので、黙っていると、


「前は、私がいくら言っても、喧嘩喧嘩喧嘩。でも今度は手を出さなかったって。なんだか感じも柔らかくなったし。アイツもきっと、あなたのこと好きなのね」


また笑った。


お母さんが、物分りの悪い子供に笑いかけるように。


それがなんだか、
わたしには腹が立った。


「じゃ、付き合ってもいいんですか?」


自分で口に出し、
自分が一番驚く。


「いいのよ、私にはもう関係ないもの」


「でも、お腹の子は?」


「……確かにアイツの子だけど、私たちのことは、2人で話し合って終わってるから、なにも気にしなくてもいいのよ」


「でも…」


「それに、あなただったら賛成よ。アイツのこと、よろしくね」


それだけ言うと、美鈴は行ってしまった。


その背中に


(嘘ばっかり‼)