「うそ~!」
「やだ〜!」
「汚~い!」


「それしかないわよ。今もどっかで吐いてんじゃない」


そう吐き捨て、甲高い笑い声とともに、トイレから出ていった…。


一分経過


……笑い声は聞こえない。


でも更に30秒待つ。


耳を澄ませ、


……大丈夫だ。


誰もトイレに居ないと判断したわたしは、口を大きく開け、その中に人差し指を突っ込んだ。


もう片方の手でトイレの水を流す。


水が流れたとほぼ同時に、一度、体の中に入った弁当が、わたしの中から逆流した。


出てくる嗚咽も、水の音でかき消される。


何度も何度も水を流し、その都度、何度も何度も、喉の奥に指を突っ込んだ。


わたしが太らない理由。


食べているのに少しずつ痩せている理由。


それは、


食べたものを吐いているからだった。