顔を背けた。


今、一番、会いたくなければ、顔も見たくないからだ。


それでも鈴木裕子は、


「細井先輩、福島先輩、ありがとうございました‼」


と、頭を下げる。


「あんたね、嫌味にも程があるわ。朝倉先輩とうまくいってるんでしょ?いちいち当てつけがましく報告に来なくていいわよ」
(よく言った!我が友よ‼」


すると裕子は、


「はい、うまくいってます‼」


悪びれもなく言うので席を立とうと…。


「でも私、転校するんです‼」


「えっ!」
「えっ!」


「お二人には、本当にお世話になりました!」


ポカンと口を開けたまま制止していたわたしは、ゆっくり椅子に座り直す。


「本当に転校するの?」


「はい、父の転勤でどうしても通えなくなるので。お二人とお近づきになれて、本当に嬉しかったです。新しい学校でもー」


「待って待って待って」


友加里が、


マイペースな裕子を遮る。