「えっ…」


思わず手から落ちそうになる鯛焼き。


これは違う‼


今まで互いに感じ合い、認め合ってきた[好き]ではない。


恐る恐る見る実の横顔が、これまでとは違って見える。


「僕、待ってたらダメですか?」


急にこっちを向いたので、慌てて視線をそらす。


「でも細井さん、彼に告白するんですよね?じゃ僕が待ってたら、縁起悪いかな」


「そ、そうよ、小林君。まるで失敗するみたいじゃない」
(もう失敗してんだけど)


わざとおどけて言ったが、


「それでも僕、待ってますから。細井さんには好きな彼と幸せになってもらいたいけど、僕、待ってます‼」


「小林君…… 」


呟きながら、


無意識にたい焼きをパクつく。


その味は、


とても甘かったのだった…。