でも実は、


「細井さん、ダイエットやめたんですか?」


とは聞かない。


今日の昼休憩に弁当をむさぼり食うわたしを見、悟ったのだろう。だから"鯛焼き"を買ってきたのだ。


「でもさ、小林君、趣味が悪すぎるわよ。外見だけで選んでない?」


「そう言われると困りますけど。知り合いだったんですね」


「ただのクラスメイトよ。でも、女は外見だけじゃないわ。ココよ、ココ」


胸を叩く。


「でも、これで気持ちに一区切りついたんじゃない?あんな子、忘れちゃいなさいよ!小林君なら、すぐにいい彼女が見つかるって!わたしが保証する‼」


また胸を叩く。


すると実は、


「細井さんにすればよかったな」


「ん?なにを?」


「細井さんを好きになればよかった」