ビクッと身を震わせ、わたしはベンチの隙間から覗き見る。


・細い足首
・細い太腿
・細いウエストに、
・洒落た巻き髪
・まるでモデルのよう
・まるで石川夏美だ


いや、石川夏美だ‼


「こんなとこに呼びつけて。もっとカフェかどこかなかったの?」


「ご、ごめん……」


「湿気で髪は痛むし、明日、撮影なのに風邪でも引いたらどうしてくれるのよ?」


腕組みをして、不満たらたらの"彼女"。


「で、なに?早くして」


「あ、あの、ま、前に…」
(頑張れ!小林君!)


「なに?はっきりしないわね。用がないなら帰るから」


再び傘をさした夏美。


「石川さん!僕と付き合って下さい‼」
(ヨッシャア!よく言った!)


男らしく告白し、手を差し出して頭を下げる実。


だが夏美は一言、


「ハァ?」