「ん?」

「今日はありがとう」

「別にヒマだったからよ。いいヒマつぶしだ」


顔を背けるのは、照れ臭いからだろう。


「ヒマつぶしでも、ありがとう」

「ありがとうありがとう、うるせーんだよ。そんな言葉より行動で示せよ」

「行動?」


首を傾げるわたしの前で、一馬は目を閉じて、口をとんがらす。


な、なんだ?


なんだというのだ‼


分かっているが、


よく分かってはいるが…。


「早くしろよ!男を待たせんじゃねぇよ‼」


口を突き出したまま言う。


"やだ…キ、キスよね?"


一馬が"ウ~!"と唸り、催促する。


"ど、どうしよう。わたしの初キス"