バイクは颯爽と走る。


車を抜き、風を切り、


(気持ちいい~)


少し慣れると、駆け抜けていく景色を見る余裕もできた。


ギアをかえスピードを上げる一馬。


顔は見えないが、背中から伝わってくる"男気"。それが単純に"カッコいいな"と思った。


やがてバイクから見える風景が、ガラリと変わり、風の匂いも変わる。


「…海だ」


青い海。


青い空に白い雲。


一馬は、海に連れてきてくれたのだ。


「先に飯でも食うか」


海沿いのレストランに入る。


イタリアンを注文し、2人で他愛もない話をし、食べ、軽く罵り合った後、一馬はこう言った。


「お前、そんだけ食やぁ、もう大丈夫だな」