ペロペロ。


生暖かい舌が顔を舐める。


手で払いのけるも、


ペロペロペロペロ。


「ウゥ~ン!」


目を覚ましたわたしは、自分に覆い被さる雄を、ギュッと抱き締めた。


「おはよう」


鼻先にキスをする。


「おはよう、真琴」


と、彼は答えない。その代わり、


「ワンワンッ‼」


きっと"早く散歩に連れてけ!"


「分かったわよ」


ベッドからおり、散歩の準備をするが、体が重い。少し熱っぽい気もするし。


昨日の雨のせいだろうか。


すると脳裏に、屋上での抱擁がパッと浮かび上がる。


ギュッと抱き締められる感触と感覚。


しばらく物思いにふける。が、


「ワン!」


のひと鳴きに、現実に引き戻されたのであった。