「ごめんね、家と逆方向なのに」

「いいんですよ」


自転車を挟み、わたしたちは歩いていた。


「でも見られてるって、ストーカーかなんかですかね?」

「こんなのストーカーする物好きはいないわよ」


自分で自分を笑う。


気のせいかしら?


ま、まさか、これもダイエットのせい?


「でも僕は、細井さん好きだな」


唐突に実が言った。


だがわたしは、突然の告白にも驚かない。


「細井さんは、困ってる人がいたら放っておけないオバサンみたいで」


「ちょっと小林君!オバサンはないんじゃないの⁉」


「す、すみません!つい…」


「わたし、来月でまだ17才よ!」


「た、誕生日プレゼントなにがいいですか?」


「なによ、機嫌取りみたいに。別にいいわよ」


「じゃ、僕が細井さんを守ります‼」