「お疲れさまでした」

「小林君、お疲れさま」


スーパーの出口で声を掛け合う。


二人の帰り道は逆方向だ。


「細井さん、ご飯食べてないんですか?」

「…あんまり、ね」


言葉少なに答える。


「そうですか」


実はそれ以上、なにも言わなかった。


・大丈夫?
・顔色悪いわね
・ちゃんとご飯食べてる?


今日もお客さんに心配された。その都度、作り笑いでゴマ化し、しまいにゴマ化すのもおっくうだ。


だが実は違う。


「じゃ、また来週」


それだけ言うと、実は自転車に乗った。それだけで、"え、競輪選手?"なみの迫力だ。


わたし…。


小林君、好きだわー。