取り囲まれた‼
1人vs3人。
ジリジリと包囲網が狭まる。
さすがに取られる‼
そう誰もが思った時、ポンっと軽くボールを浮かせると、朝倉はディフェンダーの壁を突き破り、ちょうどそこにボールが落ちてくる。
華麗な足さばきで、1人、1人とかわし、とうとうゴールキーパーだけとなった。
相手の動きを冷静に見、逆の方向へボールを…。
「え…」
なんと後ろにパスを出した。
ボールは、完全に読みを誤ったキーパーを悠々とかわし、ゴールの中に吸い込まれていく。
湧き上がる歓声。
いや、黄色い歓声。
そこから少し離れた物陰で、わたしは一人、ガッツポーズだ。