ふとした瞬間にこうしてタカちゃんを自然と思い出す。



その回数が最近増えたのは、左手首にしてある時計が視界に入るから。




タカちゃんがくれた腕時計。




ケータイを持ち歩くようになってからは、昔使っていた腕時計はいつの間にかしなくなっていた。




だけど、もらった時計をつけてからは、つい何度も時間を確認しちゃう。




あっという間にケータイで時間を確認することなんてしなくなっていた。




それどころか時計を見たくて、つい何度も時間を確認しちゃうんだ。




タカちゃんもお揃いの時計で、時間を確認してるんだって思うと、もう「きゃーっ」って叫びだしたくなる。




自分でも重症だって思っちゃう。タカちゃんが大好き病。




好きってキモチに際限がなさ過ぎてどうにかなりそう。





『まーた、見てる』




めぐの声でハッとすれば、呆れた顔でミイを見るめぐ。




『よっぽど嬉しかったんだね、カレシとのお揃いの時計』



「当然。宝物だし!」





完全に冷やかし口調だったけど、気にしないもんね。




腕時計に頬擦りしながらいうと、めぐは『やってらんない』と冷やかすのを諦めたみたいだった。