あなたの声を初めて聞いたのは、あたしが中2の夏。 「…好きなんだ。俺と付き合って欲しい」 あたしにそう告げたのはひとつ上の先輩で、名前は……えぇと、何だっけ。 まぁ、名前も思い出せない位、接点のない人なもんだから。 あたしの答えは決まっている。知らない人と付き合えなんて、無茶もいいとこだし。 「すいません。あたし好きな人いるんです」 この答えは効果抜群。 あたし、植田 由紀、中学2年。 目下の願いは、 こんなわずらわしい日常から解放してくれる、 『好きな人』を現実に作る事。