人はそれを恋と呼ぶ



俺がそっと二人に視線を移すと、松本は嫌がる植田に無理矢理抱きついていた。


植田の表情は俺からもよく見えて、俺の方を見ていた。


明らかに、拒絶の色がはっきり見えた。


『助けて』という声が聞こえてきそうな視線だったから、俺は無意識にそこから飛び出して。


松本の後ろから、思いっきり制服の首根っこを掴んで引っ張った。


「うわっ」


そう叫んで尻もちをついた松本を上から見下ろした。


「何やってんだよお前。嫌がってんだろーが」


何だかものすごくムカついた。どいつもこいつも、なんでそう自分の事しか考えないんだ。相手の気持ちはどうでもいいのかよ!?