人はそれを恋と呼ぶ



彼女は時計を見て、ちょっと焦って言った。


「あ。あの、木下?あたしもこの場所に呼び出されてるの。だから、悪いんだけど早く出てって欲しい…」


「え?マジ?わかった」


俺が出て行こうとすると、裏庭の入口から入ってくる男の顔が見えた。


アイツ、同じクラスの松本じゃねぇ?


俺は完全に出ていくタイミングを失って、草むらに隠れる羽目になる。


彼女は困った顔をして俺に視線を送って、観念したように草むらから出て行った。


まいった。


いくら鈍い俺でも予想がつく。


今度は俺が彼女が告られるシーンに立ち会う事になる。


全く想定外のことばかりでわけがわかんねーんだけど。