「あ?なんだ…空耳か?」 周りに誰もいないと思ったのに。 後ろの草むらから声がした気がして、俺はためらいもせずにその辺りを手で掻き分けた。 そこにいたのは、口を手で押さえてうずくまる、見た事のない女。 「……えっと…誰?」 その女は、バツが悪そうに立ち上がった。 肩までのまっすぐな髪と、少し茶色い瞳。 下手なアイドルより整った目鼻立ちの女は俺と全く目線を合わせずに、無言でため息をついた。 うわ…コイツ… すっげぇ美人じゃねぇ?