この気持ちも、錯覚なのかも知れない。 よく知らない相手を勝手に理想の人に仕立て上げてる。 遠い人だからこそ、現実を知って幻滅することもない。 そうだよ。きっと。 恋は盲目ってこういう事なのかも。 そう。あたしはまだ本当の彼を知らない。 会えなくなれば、忘れられる。 …でも、その前に。 もう一度だけ、声を聞きたい。 もう一度だけ、逢いたい。 あたしは、それから数日、夕方の彼の来そうな時間帯には必ず部屋にいて、彼を待った。 修兄ちゃんが帰る前に、来て欲しいと願った。