「貴兄ちゃん…後で覚えてなさいよ…!店番忘れて帰ってこないなんて!!」 あたしがぶつくさ文句を言うと、舞はおかしそうに肩を震わせる。 「馬鹿ねぇ。貴兄…忘れっぽいからねぇ。あたしはいいのよ。だって涼しいもの。たまにあたしと二人っていうのもいいじゃない」 夕暮れの店の中には、眩しいくらいに陽が差し込んで、あたしは目を細めて窓の外を見た。 店の前には10人程の男達がたむろしていて、あたしは顔をしかめる。 ああいうのが、一番店に入ってきて欲しくないタイプだからだ。