蘭の目には何も映らない。 目の前に居る俺も。 光も。 自分の姿さえ。 蘭の目に映るもの。 それは今、闇でしかない。 蘭の髪は真っ黒。 長さは肩に付かないほど短くなった。 何があったかなんて見ただけで分かる。 きっと紅龍を、忘れようとしたかったんだろう。 でも蘭。 お前は気付いてないかもしれないがな? 今のお前、殻に籠もっただけじゃねえか。